※愛は存在しません。不快に思われる方は閲覧にならないようお願いします。





  重い扉に鍵が一個、二個、三個。
  なぜこんなに厳重なのかって?
  それはそれだけ大事なものが仕舞ってあるからだ。




   011 けれど あなたが拒むのな




  ギィ、と開かれた扉の音は大きかったが、部屋の住人の耳には届かなかったようだ。
  まるで王室の様な豪華なベッドには天蓋が付いていて、中の様子がうっすら見える。
  ガーゼの様なその布をかきわけて、太公望は中を見た。


  「…様子はどうだ?楊ゼン。」
  「うーん…やはり少しキツすぎたようですね。まだ目が覚めません。」


  寝台の上には、2人の青年がいた。
  1人は青い長髪に蒼い目の、背の高い青年。
  もう1人は、白金の髪の背の低い青年。人形のように端正な顔は瞼が閉じられ、青い髪の青年の胸に寄りかかって眠っている。
  白い青年は、服を着ていなかった。


  「言われた通り処方したのだが…。ヤブだったか?それとも体質かのう…。」
  「それもあるかもしれませんね。まぁでもこの方が都合はいいかも知れませんよ。ほら。」


  一糸まとわぬ下肢の奥に、楊ゼンは手を伸ばす。
  ローションで濡らされたそこはもうどろどろにとろけていて、楊ゼンの指を2本ほど呑み込んでいた。


  「ん、ぅ…、ふぁ…」


  ぐちゅぐちゅと水音が響くほど弄られても、白い青年は一向に目を覚まさない。
  小さく開かれた唇から、甘ったるい声だけがもれた。
  白い青年が…申公豹が西岐に連れてこられたのはつい先日のことだ。
  いや、連れてこられたというのは語弊がある。正確には西岐にやってきた申公豹を、太公望が帰さなかったのだ。


  「しかし医学の力とは恐ろしいものよ。あの申公豹が、こんなに容易く手に入ったのだから。」
  「容易くって、師叔。それは眠っている間の話でしょう?また目を覚まされたら、押さえつけるのに一苦労ですよ。」
  「うむ。だからこうやって身体から堕としておるのではないか。わざわざ睡眠薬と媚薬を併用してのう。」


  ぐちゅ、と3本目の指が入った。
  申公豹の顔が、苦痛にゆがむ。ただそれも一瞬のことで、奥のしこりを押し上げると甘く歪んだ。


  「ぁっ…は、ぁ…あ…」
  「…かわいいですね。」
  「おぬしばかりずるくないか?」
  「スースも来ればいいじゃないですか。」


  それもそうだ、と太公望は寝台に腰掛け、伸ばした指を蜜を零している性器に絡みつかせた。
  白い体が、びくりと跳ねる。


  「や、…ぁう…」
  「はは、師叔嫌がられてますよ。」
  「う、うるさい。こやつの場合、イヤはイイの裏返しだから良いのだ…!」
  「そうですかねぇ。」


  もうすっかり勃ちあがった性器を扱くと、申公豹が逃げるように身体を揺らす。
  勿論そんなことで逃れられるはずもなく、むしろ動く度に後孔に穿たれた指が奥まで当たってしまっていた。


  「ふぁ、あっ…や…ァ…」


  洩れでる声はどんどん大きくなるが、それでも申公豹は目を覚まさない。
  よほど眠剤が効いているのか、昨日の行為で疲弊しているのか。


  「ねぇ師叔、挿れていいですかね。」
  「わしに聞くな外道め。」
  「人のこと言えますか?」


  ばふ、と申公豹の身体が寝台に倒れ込む。
  片足を持ち上げ、とろけきったそこを楊ゼンがゆっくりと貫いた。


  「ひ、ぁ…っ…」
  「随分控えめよのう、楊ゼン。昨日と同じ人物とは思えんわ。」
  「僕は、紳士、ですから、ね。」
  「あーはいはい言っておれ…。」


  激しく穿つような真似はせず、長いストロークでいたわるように何度も何度も申公豹の中を拓いていく。
  細くて白い体はほんのりと桜色に染まって、力なく寝台に横たわったままだ。
  だが、いく度目かの応酬で、ついにその閉じられたままの瞼が震えた。


  「ぁ、ぁっ…ん、…?」
  「あ、やばい。師叔、抑えて、準備準備。」
  「しかたないのう…。」


  群青色の目が、開かれた。


  「――――!?」
  「おはようございます、申公豹。」
  「もう夕刻だがの。」
  「な、に…し…っあ、や…やだ、はなしてくださっ…!」
  「それは出来ない、相談です、ね。ほら、もう挿入ってます、し」
  「っんぁ、あ…!いや…もうやめ…っひ、ぅ…――!」

  暴れる体を横から太公望が押さえつける。
  力を入れようにも、中で熱が動き回っていてそれどころではない。
  ぐちゅ、と一層大きな水音がして、申公豹の内部に楊ゼンの熱が注ぎ込まれた。
  引き抜かれたそこから、白濁が溢れてくる。


  「ぁ、ぅう…」


  内部に広がる不快感に、申公豹は目の端に涙を浮かべた。自身の身体の熱は残ったままで、むず痒い。
  自分だけさっさとイった楊ゼンに、太公望が何ともいえない視線を送った。


  「…早漏。」
  「違いますよっ失礼な!」
  「早漏ではないk―――ぅわっ!?」


  言い争いをしていると、楊ゼンと太公望の耳元で高いノイズ音が響いて、天蓋の一部が大きく切り裂かれる。
  敗れた隙間から見える向こう側の壁には、大きな亀裂が入っていた。
  振り返ると、身体を起こした申公豹が、荒く息を吐いている。
  おそらく申公豹がしでかしたことなのだろう。楊ゼンと太公望は、背筋が寒くなるのを感じた。


  「…。…おぬし、宝貝なしでこんなことできるのは反則だと思うぞ?」
  「…全くもって同感です。」
  「っおだまりなさい!人をこんなところに閉じ込めて、ふざけるのもいい加減に…っう、――やぁっ…!」


  申公豹の短い悲鳴が上がる。
  今度は太公望の熱が、申公豹の中に入っていた。
  一気に奥まで穿たれて、耐えきれなかった申公豹は腹まで白濁を飛ばした。


  「ぁ、ああァ…っ!」
  「は、これは…すごい、な。」


  ぎゅうぎゅう絞めつけてくる内部に、太公望は一瞬トリップしそうになる。


  「も、や…です、ふぁっ…抜いて、くださぃ…っ」


  カタカタ身体を震わせながら、それでも太公望を退かそうと必死に申公豹は抵抗する。
  射精した直後に内部を抉られて、半音上がって歪んだ声が部屋に響いた。


  「申公豹、だから言うておろう…?こちらの味方をしてくれれば、すぐにここから出すと。」
  「ひっ…み、かたなんて…しませ…」
  「別に戦闘に加担しろというわけではありませんよ?申公豹。」
  「そうだ、ただ、こちら側についた≠ニそう宣言するだけでいいのだから。」


  楊ゼンと太公望が、申公豹の耳に左右からそう囁く。
  殷の、妲己の傍を離れて、こちらにつく。
  口先だけでもかまわない。
  その事実が欲しいのだ。
  最強の道士がこちら側についたという事実が。
  そうすれば、状況はひっくりかえるのだから。


  悪魔の様な囁きが、申公豹の頭に響く。
  快楽に堕とされそうなその中で、申公豹は頭を振って声を絞り出した。




  「わ、たしは…だれの、味方にも…なりま、せん…っ…」


  ふっ、と部屋の温度が下がった様な気がした。
  申公豹を押さえつける太公望の手に、ぐっと力が込められる。
  まだ少年の幼ささえ残る様なその顔に、不釣り合いな邪笑が浮かんだ。


  「そうか、ならば仕方がない。」



  ――明けない夜の、始まりダ。













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   3P、監禁、ちょっとした睡姦っていう…なんて俺得な話(^q^)
   すいませんでした、楽しかった。
   なんていうか緊張感のない話ですね、楊ゼンと太公望の会話がのんびりすぎた。





   10/12/5

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