*老子がちょっと喘いでます(当社比)ので苦手なかたはご注意。
088 どんな奉仕でもします
ラグの上に寝っ転がっていると、申公豹がいきなり馬乗りになってきた。
うとうとしていたのもどこかに行ってしまって、随分近くにある顔に戸惑った。
「…え。なに…どうしたの?申公豹、熱でもあるの?」
「いたって普通です。」
「普通…じゃない。君が私に乗っかってくるとかありえないでしょ、いつもなら。」
なんだか申公豹はむすっとした顔をしている。
言葉にするなら、言わせるなとか、察しろとか、そんな感じ。
「…。…今日は、リクエストに…応えてあげようと思っただけです…」
ぼそ、と呟くように申公豹が言った。顔はふいっと逸らされてしまって、心なしか頬が赤い。
「リクエスト?」
「こ、この前言ってたじゃないですかっ、たまには…その…」
そこまで言われて、ついほんの数日前のことを思い出した。
確かに何かの拍子で言ったような気もする。えーと。
「たまには申公豹から誘ってくれたら嬉しいなぁ、ってやつ?」
「…。」
黙ってしまった申公豹に、つい笑いそうになってしまう。
言った時には、ありえませんとか言ってたくせに。今日まで気にとめていたのだろうか。
本当に、健気というか、なんというか。
「押し倒しに来い」という意味ではなかったのだけれど…まぁいいか、かわいいから。
「ですからっ、今日はちょっと大人しくしてください。」
「ふふ、うん、いいよー?」
とうとう可愛さに堪え切れずに笑ってしまった私に、また申公豹がむっとした表情を作る。
少々ためらいがちにこちらを見て、それから唇が降ってきた。
「っ…」
「ん、」
「ん…ふぁ…」
キスをしながら、拙い指先が私の服を脱がそうとする。なにこの状況、楽しすぎるんだけど。
「ん…」
唇を離してこちらを見てくる表情はひどく不安そうだった。眉がハの字に下がって、視線は落ち着かなさそうに右へ左へ動いている。
かわいくて喉の奥で笑いをかみ殺していると、怒ったのか申公豹が首にかみついてきた。
「いっ…」
「笑ってられるのも今のうちなんですからねっ」
そんな、顔真っ赤にして言われても。ほんとかわいいな。
パーカーの裾から申公豹の手が入り込んでくる。たどたどしいのがくすぐったくて、体を捩った。
「ふふ、」
「私だって、いつも、くすぐったいんですから。」
「うそ、申公豹は気持ちよさそうだよ?」
「ち、ちがいますっ!」
「ちがわないよ。ほら。」
「ちょっ……っ!」
背中に回した手をシャツに侵入させて、浮き出た背骨をするりと撫でる。ただそれだけのことなのに、申公豹の背中は跳ねた。
「敏感だなぁ。」
「…っ、大人しく…しててくださいって言ったじゃないです、か…!」
声を荒げる申公豹の顔を引き寄せる。
耳元で声をひそめて、注ぎこむように呟いた。
「大人しくさせてごらんよ?」
「っ!」
挑発するように言えば、ギンとこちらを睨んだ申公豹は、何を思ったのか私のベルトのバックルに手を掛けた。
「え」
金属音を立ててバックルが外れると、わざわざ歯でジッパーを下げた申公豹は、そのまま躊躇うことなく私の性器を口に含んだ。
「うそ…っ」
さすがに有り得なさ過ぎて言葉が口をついて出てしまった。だって、あの申公豹が尺とか。頼んでもやってくれなさそうなのに。
実行してしまってから事の重大さに気付いたのか、申公豹の顔がかっと赤くなる。
恥ずかしそうにぎゅっと目を一度瞑ったが、口にくわえたものを放すことはしなかった。
「ふ…ん、ぅ…」
たどたどしい舌がねっとりと絡んでくる。どうしていいのか良く分からないのか、不安そうに潤んだ群青の目が私を見上げてきた。
上目づかいなんて反則だ。身体がかっと熱くなる。
これは、ヤバいかもしれない。色んな意味で。
「ん、ん…」
「ちょ、っと…まって…っ」
せめて電気を消さないとヤバい。感覚的には仕方ないとして、視覚的にもこられたらちょっとマズい。
「そんなこと言って、あなたが、待ってくれたこと、ないじゃ、な」
「――ぁっ…!」
口を塞いでも遅かった。
申公豹は目を見開いている。大きな目が、こっちを見ている。
だって喋られたら歯が当たるんだ、仕方ないじゃないか。
でも、ダメだこれは、恥ずかしすぎる。
「老子、顔、赤いです…」
「…。…だろうね。」
自分でも顔に熱が集中しているのが分かる。
「…なんだか、楽しくなってきましたよ。」
どこかとろんとした目の申公豹がそんなことを言う。
楽しまなくてもいいよ、と返そうと思ったが随分深くまで咥え込まれてそんなこともできなかった。
「ん、っ、」
「ろぉし、」
「っ、ん…?」
「きもち、いい、ですか…?」
気持ちいいに決まってる。
実は思ったより上手くてどうしようか思案しているくらいだ。
舌が絡むたびに身体が強張って、足のつま先が反りそうになる。
私はいつも意地悪したくてそんなことを聞くけれど、申公豹は純粋にいいのか悪いのかが知りたいらしい。
見てくれたら一目瞭然なわけだけど、言葉で欲しいというのは良く分かる。
「うん…きもち、いいよ。」
「そう、ですか。」
申公豹はどこか満足そうに微笑って、また黙々と咥えこんだ。
こちらの様子を窺うように、時折ちらりと見上げる視線がそれはもう殺人的にエロい。
「ね、申公豹、」
「?」
「も…いいか、ら…リクエスト…おわり、」
「…いやです。」
「い、やって…でも、っぅあ…だめって、ね?…申、っ、で、るから…」
「だしていい、です。」
「いい、って…ぁ、ちょっ…――っ…!」
流石に口内に出すのは躊躇われたので、一向に離そうとしない申公豹の頭を掴んで口から出した。
が、あまりにもタイミングが悪かった。
耐えきれなかった白濁は、ものの見事に申公豹の顔にかかった。
何が起こったのかよく分からない申公豹は、大きな眼をきょと、と開いて、飛沫のとんだ頬に手を当てていた。
「っ、ご、ごめん!!」
「どうして謝るのですか?」
「どうしてって、だって、顔…」
かかっちゃったし、と言うと申公豹はむすっと不機嫌な顔をしてこう言った。
「あなたはいつも飲んでるじゃないですか。私だって、そうしたかったのに…。」
一体なんてことをのたまってくれるのか。
さっきからそうだったけど、もう我慢の限界だ。
のしかかっている申公豹の身体を押して、今度は私が上に乗った。随分汚れてしまった顔を、ティッシュでぬぐう。
「老子…?」
「苦いから、飲まなくていいよ。」
「じゃあどうしてあなたは飲むのですか。」
「…申公豹のは別だよ。」
納得いきません、と拗ねる申公豹をなだめて、綺麗になった頬に口付けた。
ぎゅっと身体を寄せると、申公豹の身体の変化に気付いた。
(あれ…?)
首を傾げていると、申公豹も気付いたみたいで、彼の顔は林檎のように真っ赤になった。
「…私の舐めて…興奮したの…?」
「ち、ちがっ…!」
「でも、こんなだし。」
服の上から触れた下腹部のそれはもう硬くなっていて、指を滑らせると申公豹の身体はびくりと跳ねた。
私の両肩を掴んだ手にぎゅっと力が入る。
堪えるように噛みしめられた唇に、噛みつくようにキスをした。
「ん、ふぅ…っ、ん、」
「リクエストに応えてもらったんだから、お返しをしなくちゃね。」
「っ、や…いい、ですっ…いらな…」
「まぁそう遠慮せずに。」
ジィとジッパーの下がる音にすら興奮する。
下着の中から半勃ちのそれを引きずり出して咥え込んでしまえば、申公豹の口からは意味を成さない言葉の断片ばかりが溢れだす。
「ひ、ぁっ…あ、や…ァ…」
「かわいい、ね」
「は、ぅ…っぁ…」
快楽をやり過ごすように、きゅぅっと眉根が寄せられる。
わざとらしく水音を立てて吸い上げれば、恥ずかしいのか赤味を帯びた顔がさらに染まった。
「っも…いや、です…老子ぃ…」
太ももを震わせて、泣きそうになった目で申公豹が私の顔を見た。
私の口内にあるそれはもう弾けんばかりで、例えばここで大きな刺激でも与えればすぐに射精してしまうだろう。
私の名前を舌っ足らずな声で呼ぶ申公豹があんまりかわいくて、ついいつものように意地悪したくなってしまったけれど
今日は彼がとても頑張ってくれたから悪戯は
…ひとつにしておこうか。
「ね、申公豹、」
「ふ…?ん、ぁっ、あ…」
「きもちいい…?」
「っ、ひ…やぁァ…」
ちゅ、と先端に口付けながらそう聞くと、どこか恨みがましそうな目で申公豹が見つめてくる。
甘く歪んだ目で睨んだって意地悪したくなるだけだっていつも思うのだけど、かわいいからわざわざ忠告したりしない。
先走りをとろとろと溢れさせているそこをもう一度舐めたら、申公豹はいっそう甘い声で鳴いた。
「さっき申公豹も聞いたでしょう?私だって気になるよ、君がどう思っているのか。」
「ぅ、く……、」
「ん?」
「き、もち…いぃ…です、…す、ごく…」
どこか彷徨う様に熱っぽい視線を泳がせて、申公豹は小さな声で確かにそう言った。
恥ずかしいのか、もう私の顔は見てくれていなかったけれど。
「ほんと…かわいいね。」
もう幾度目か分からない、彼が最も拗ねる言葉を呟いて私は白濁を受け止めた。
そして当然のようにこくりと喉を鳴らして飲み下す。
今は脱力した彼が、我に返ってその行為を咎めるのだって、私にはとても楽しみなことなのだ。
一度は書いてみたいご奉仕ネタ。
ちょっといつもより老子を喘がしてみたりしましたがどうでしょう。
私はすごく楽しかったヘ(゚∀゚ヘ)
ていうかね、このお題もうこれしか…私の貧相な脳みそではこれしか…orz
11/01/12
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