あなたが、私の感じている顔が好きだという様に
私だって、あなたの感じている顔が、
きつく抱きしめ合いながら
「っ…!」
息が止まるくらい熱い。
激しい律動が止んでも、身体の奥で脈打っているあなたの身体の一部が、私のすべてを支配している。
息の仕方も、身体の動かし方も、全て。
「ご、めん…。また中で出した…。」
「ぁ…ほんと、最低、ですね…私が、女性だった、ら…どうする気…ですか…。」
息が上がって、上手く言葉が紡げない。
暗順応した目で必死にあなたの顔をみる。
私と同じように頬を上気させて、息を荒げているあなたを。
「申公豹だったら、女の子でも好きになっただろうね。」
どこか得意げにそう囁く顔に、ばか、と一言悪態を吐く。
私が笑っているのが分かったのか、老子も可笑しそうに小さく声を上げて笑った。
「ん、」
老子が笑うと、当然身体が揺れるわけで。
中に入ったままのそれが、内壁に刺激を残していく。
ほんの少し。ほんの少しの刺激が、まるで毒のように滲み渡っていく。
「そんな顔しないでよ。」
「なにが。」
「かわいい顔。…感じてる顔。」
そんな顔してない、と抗議するとまた笑い声が返ってきた。
それでもそのまま衝動に任せて身体を穿ったりしないのは、私の体力の限界を察しているからなのだろうか。
細身の体はバタリと倒れこんできて、私の身体を抱き枕かなにかのように抱きしめた。
顔が、見えない。
「好きなんだぁ…申公豹の感じてる顔。」
息を吐くような声で、老子はそんなことを言う。
涙でぐしゃぐしゃで、息もまともにできなくて喘いでいるこの顔の何がいいのか私にはよくわからない。
よく分からないけれど。
「私も、」
そこで言葉を区切ると、老子が少し身体を起こしてこちらを見た。
浅葱色の柔らかい髪が一房、私の肩口を滑っていく。
「私も好きです、老子の、」
感じてる顔。
と、最後まで呟く前に唇を塞がれた。
柔らかい舌が口の中に入り込んできて、くすぐるように動く。
私の息が上がる前に離れていった舌先から、細く銀糸が引いていた。
「…最後まで言ったら止まらなくなるからダメ。」
「それは困りましたね。」
「だから最後まで言わないで。」
困ったような顔で、あなたが言う。
だから最後まで言わない。
けれどこれは本当のことなのだ。
あなたが私の感じている顔が好きだという様に、私だって、好きなのだ。
いつもは眠そうな顔を甘く歪ませて、私と同じように息を乱して、私を追い込んでいくあなたが。
ごろん、と横抱きにされて、また唇を塞がれた。
緩く回された腕に、力が加わっていく。
愛おしむような、希うようなその腕の力に私もゆっくりと老子の背中に手をまわした。
あと一秒で、あなたを抱きしめる。
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老子の感じてる顔も魅力的だろうと思いましてね…ね…。
2010/9/19
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