「絶対嫌です!!」
「なんでですか、仕方ないでしょう、申公豹。」
「し、しかたなくないです!だってそれ…」
「ワンピースですけど。」
楊ゼンくんの恋人。 (着替え編)
「…抗議したい気持ちは分かるんですけど…これが一番作るの簡単だったんですよ。お願いします。ね?」
「うぅ…。」
事の発端は一杯のお茶だった。
16cmの申公豹用に、小さめのカップを作ってお茶を汲んだのだが、それでもやはりコップは大きかったらしく、
申公豹が手を滑らせてお茶を服にかけてしまったのだ。
しかし、彼が持っているのはあの小さくなった時に着ていた服一着のみ。仕方なく臨時の服を作ることになったのだが…。
出来上がりの速さのみを追求すると、ワンピースが一番だったのである。
「風邪引いたら大変ですから…ね?」
「…。…わかりました。せっかく作ってもらったのを無碍にするのも申し訳ありませんし…着ます。」
とはいいつつ、眉をハの字に曲げて、しぶしぶ僕の作った服を手に取った申公豹は、
着替えのために彼の寝床になっている籠の後ろに隠れた。
と、いっても覗くのは至極簡単なのだが、ここで覗くと後々僕の立場がなくなるのでぐっと堪える。
「…こ、これでいいんですか…?」
おずおずと、着替え終わった申公豹が出てくる。
といっても身体はまだ半分物陰に隠れてしまっているが。
「それじゃ見えないです、申公豹。こっちまで出てきてください。」
そう言うと、一瞬苦い顔をした申公豹がひょっこりと出てきた。
う…かわいい。
彼に言うと確実に怒られるだろうが、ワンピースにしてほんと良かった。
膝上5センチ程度の清楚なワンピースは、彼にとてもよく似合っていた。
「かわいいです!」
「全く嬉しくありませんっ…!足が落ち着きませんし…。」
申公豹は服の裾を掴んで、ぱたぱたとさせている。
彼は気付いていないだろうが、その度に白い太腿が見え隠れするので僕としてはもどかしい事この上ない。
本来のサイズだったら確実に押し倒しているだろうに。
「はぁ…。楊ゼン、早く乾かしてくださいね、服。」
「あ、はい。」
一応返事はしたものの、もう少しこの姿を拝んでおきたい。
彼の服を乾かすのは、随分先になりそうだ。
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こんなことをあとがきで言うのもなんなんですけど、こういう話を書きたくなるのは
小さい頃にお人形遊びがしたかったっていう管理人の願望が原因ではないだろうか
とぼんやり思いました。
というわけで、楊ゼン、私のかわりによろしく頼む(笑)
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