*この話は第51回の話の後を激しく邪に妄想して出来たものです。
          ものすごく今更ですが、原作の雰囲気を著しく壊していますのでご注意を(笑)




          「確かにあなたは殷の親ですよ、聞仲。」


             衝動は突然に



          欄干の上に座る道化師が呟いた。
          聞仲は一度扉に向けた足をもう一度返し、申公豹の方を向く。


          「…おい。」
          「はい?」
          「その座り方、何とかしろ。」
          「座り方?」


          聞仲の言っている意味がわからなくて、申公豹は自分の格好をしげしげと眺めてみる。
          欄干の上で少し脚を開いて座って、両手はその開いた脚の間。


          「…何か問題でも?」
          「いや、だから…とにかくなんとかしろ。」
          「はぁ?」


          納得がいかなくて、申公豹は不満げな声を上げた。


          申公豹は気付いていないのかもしれないが、今の彼の格好はとてもかわいいのだ。
          しかもその体勢で上目遣いなんかしてくるものだから聞仲の理性の糸は切れそうである。
          今まで殷についてシリアスな話をしていた事はこの際記憶の彼方に追いやるとしよう。


          「理由もわからないのに直したくありませんね。」


          機嫌を悪くした申公豹は、キッと聞仲を睨みつけた。
          最も、上目遣いで睨まれて切れたのは、堪忍袋の尾ではなく理性の糸だったわけだが。


          「…わからないなら、わからせてやろうか?」
          「は…?」


          不機嫌丸出しの申公豹の目の前まで近づいた聞仲は、そのまま申公豹の肩に片手をついて唇を奪った。


          「っ…ん、っ…!?」


          驚いた申公豹は聞仲の体をぐっと押し返そうとするが一向に動かない。
          息を吸うタイミングすら奪うキスにすぐに息が上がってしまう。
          頭がぼぅっとして、上手く力が入らない。


          「ん…ぅっ…ッ」


          申公豹の力が抜けていくのをいいことに、聞仲の手が申公豹のシャツの中に進入し白い腹を撫で上げていく。
          阻止しようと申公豹は聞仲の腕を掴んだが、効果は無かった。
          もう酸欠になってしまう、と思ったときにようやく唇が離れる。
          脆い銀糸が二人の口を頼りなく繋いで、切れた。
          

          すぐさま抗議の言葉を口にしようとした申公豹だったが、胸の先端を指の腹で掠められてはそうもいかない。
          体がぴくんと反応する。漏れ出そうになった声を隠そうと手で口を覆った。


          「…隠すな。つまらんだろう。」


          愉快そうに言う聞仲をギンッとにらみ付けたが、それも一瞬のことで、愛撫の前ではすぐに切なげな表情に変わってしまう。


          「は…ぅっ…」


          シャツをたくし上げ、すぐに硬くなった先端を見て聞仲が小さく笑う。


          「感度がいいな、お前は。」
          「は…なしてくださいよ…っ…ひゃ…ぁっ」


          ぷっくりと赤く立ち上がったそことは反対の突起を舐め上げられて申公豹の体が跳ねる。
          止めてほしさに聞仲の髪を引っ張るが、舌は動きをやめない。


          「や、め…っ…ぁ…見え…るっ…」
          「見える?」
          「ぅ…しろ…っ…」


          今は真昼間。
          後ろは壁でもなんでもなく、外から見ようと思えば十分見えてしまう位置に二人はいた。
          申公豹がそれを指摘しても、聞仲は全く動じない。
          動じないどころか、むしろ楽しんでいるような気さえする。


          「…ああ、そうだな。見えるかもしれんな。」


          申公豹がは恥ずかしがるのをわかっていながら、聞仲はあえて煽るようにそう言った。
          案の定、申公豹は焦って体を縮こまらせる。
          そんな事をしたって、何の意味も無いのに。


          さらに追い詰めるように、聞仲は申公豹の下腹部に手を這わせた。


          「ぃ、嫌っ…です…っ…」
          「感じているくせに。」
          「ち、がっ…ぁ、あっ…」


          すっかり熱を帯びてしまったそこは、刺激を与えるたびに張り詰めていく。


          不安定な場所に座っている申公豹が後ろに落ちないためには、聞仲にしがみ付くしかなかった。
          それがまるで自分からこの行為をねだっている様な錯覚に陥って、たまらなく恥ずかしかった。
          いつそうしたのか、膝の辺りまで服がずり下ろされていて、申公豹は下を向くに向けない。
          ぎゅっと目をつぶって、必死に脚を閉じた。


          「申公豹…閉じるな。」
          「や…です…っ…」


          頭を振って嫌がる申公豹に、じわじわと嗜虐心が湧いてくる。
          こうも意地っ張りだと、それを素直にさせてやりたくなる。


          次の瞬間、聞仲はにやりと笑って力ずくでその両の脚をこじ開けた。


          「やぁっ…!?」


          羞恥にかっ、と申公豹の頬が赤に染まる。
          同時に体が後方に傾いで落ちそうになったのでぎゅっと聞仲の服をひっぱった。
          体勢が体勢なだけに、離したいのに離せない。
          くやしくて聞仲をみると、くくっと笑う声がした。


          「この方が、良く見える。」


          申公豹はもう半泣きで、嫌だ嫌だと訴えるが聞仲はそれを無視して、先走りにぬめる性器に触れる。
          先ほどより確実に敏感になったそこは、また一筋蜜をこぼした。


          「恥ずかしい方が感じるのか…?」
          「そんな、わけ…ないっ…!」
          「そういう割には、すごいことになってるぞ?お前の。」


          焦らすように緩く柔く触ると、耐えかねたように甘ったるい声が漏れてくる。
          言葉では否定しても、体は随分正直だ。
          開かされた脚は震えだして、限界を告げていた。


          「イきたいだろ…?」
          「っ…ふ……」


          そんなこと言える訳が無いとでも言いたげに、切なそうに申公豹がこちらを見つめた。
          そのあまりの艶に一瞬聞仲は息を呑む。
          焦らしに焦らしてやろうと思っていたのに、そんな考えはふっとんで、聞仲は申公豹が達するに十分な刺激を彼に与えた。


          「ぁっ…――は、ぅっ…!」


          びくんと大きく申公豹の体が震えて、白濁があふれ出す。
          聞仲の手を伝って、ぱたぱたと精液が床に落ちた。
          弓なりに跳ねたからだが、小さく震えながら聞仲にしがみ付く。
          

          と、申公豹はここであることに気付く。
          快楽に反った反動で、被っていた帽子がぽおんと空に放りだされてしまったようだ。


          「ぁ…帽子…」


          射精の余韻でうまく焦点の合わない目で、名残惜しそうに後ろを見る。
          帽子は禁城の屋根に乗ってしまっていた。
          それに気分を害したのは聞仲だ。
          帽子なんかより私を見ろと、そう威圧して。


          「そんなもの、後で取りに行けばいいだろう。」


          欄干の上に座ったままの申公豹を床に押し倒して、荒っぽいキスを送る。
          申公豹は床の固さと冷たさに顔をしかめたが、それとほぼ同時に後孔に指を突き入れられて
          床のことなど気にしている場合ではなくなった。


          「ぅ…く…っ」


          内部を押し広げるように指を動かされて、苦しさに申公豹の顔がゆがむ。


          「…邪魔だな。」


          低い声で呟くと、聞仲はかろうじて申公豹の足に引っかかっていたズボンを引き抜いた。
          露わになった白い太腿をつかんで脚を持ち上げ肩に乗せる。


          「や…ぁっ…あ、っ…はぅぅ…」


          指を出し入れするたびにひくひくと震える感度のいい体に、聞仲は満足げに笑った。
          探り当てた前立腺を刺激してやると、面白いくらい申公豹の体が震えてうわずった声で鳴きだした。
          内部はねっとりと指を包んで離そうとしない。
          二本、三本と増やすうちにどんどん内部が緩んでいく。
          性器から伝った精液が内部まではいりこんで、くちゅくちゅと音を立てていた。


          「やらしいな。」


          体を折り曲げて申公豹の耳元でそう呟くと、すぐに顔に朱が走る。
          否定しようと言葉を紡ごうとする唇を塞いでから、聞仲は熱い性器で申公豹の体を穿った。



          「――――っんん…!!」



          甘い悲鳴は聞仲の口に飲み込まれる。
          潤みきった申公豹の群青の大きな瞳から、涙が零れ落ちた。
          体格差が有りすぎるばっかりに、抵抗できる唯一の術は聞仲の服の上から背中に鋭く爪を立てることぐらいだ。


          「っ…あッ…痛…ぁ…!」
          「大丈夫だから…力を抜け。」


          一気に奥までねじ込んでおいて、何が大丈夫なものかと申公豹は思った。
          ありえない位の圧迫感。力を抜かないと苦しいのは重々承知しているが、体が言うことを聞かない。
          どうしていいのかわからなくて、ただ目の前の体にぎゅっと抱きついた。
          それに気付いた聞仲が、いたわるように声をかける。


          「…深呼吸できるか…?」


          なんだか随分優しい声に、申公豹は乱れた呼吸を何とか整えて、言われたように大きく息を吸う。
          それを吐き出すとふっと一瞬内部が緩む。その隙を狙って聞仲は申公豹の一番弱い部分を突き上げた。


          「っあぁ…!」


          今にも泣き出しそうな声が血色のいい唇から溢れる。
          何度もそこばかり突き上げられて意識が飛んでしまいそう。
          快楽の波に飲み込まれないように立てた爪は、聞仲の皮膚を裂いたのか、裂かなかったのか。


          「あ…っぁ…聞、仲っ…も…やめ…」
          「止められる、わけ…無い、だろうがっ…」


          上気した顔でこちらを見つめてくる申公豹を聞仲は見かえした。
          溺れそうな位深い青の瞳は、もう限界だと訴えてまた一つ涙をこぼした。
          目は口ほどに物を言うとはよくいったものだ。


          きゅうと締まる内部の最奥まで自身を埋め込む。
          真昼間から何をやっているのだろうと、聞仲は自分で自分に呆れたが
          こんな目の毒のような生き物を前にして、手を出さずにいられるものかと開き直った。




          「ひっ…――あぁァっ…!」




          肌より白い液体が、申公豹の腹を汚す。
          一層強くしまった内部に、聞仲は引きずられるように精を放った。















          「意味がわかりません。」


          数時間後、ベッドの上で目を覚ました申公豹が、近くの壁にもたれかかっている聞仲に言い放つ。
          あんまり刺々しい声色だったので、聞仲が一瞬たじろぐ。
          ことに至ってしまった理由が、あまりにも馬鹿馬鹿しい事に今更気付いた。


          「…お前が、あんな格好をしているからいけない…。」
          「何なんですかそれ!」
          「だからっあんな可愛い格好で座るなと言っているんだッ!」
          「はぁあ?」


          申公豹の呆れ返った声に聞仲はだんだん立場がなくなってきた。
          まだ納得のいかない申公豹が噛み付くように言う。

          「それならそうとハッキリ言ったら良かったじゃないですか!」
          「言えるわけないだろうがっ」
          「っ今言えたじゃないですか!!」
          「〜〜っ…知るか!」


          禁城の一室で大声が飛び交う。
          屋根の上に未だ置き去りにされている帽子が、風に吹かれて一度揺れた。










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           あの座り方可愛いですよね?(笑)


           07/不明


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